海外旅行に行く楽しみのひとつに映画のロケ地などをめぐる、日本のアニメファン流でいう“聖地巡礼”というのがありますよね。お気に入りの映画の舞台である現地に行くだけで、もう大興奮しちゃいます。では、そんな現地にある海外の映画館はどんな所なのでしょうか? 今回は世界の映画館や海外での映画の楽しみ方をご紹介していきましょう。

日本とは違う!? さまざまな特徴がある世界の映画館

映画大国であるアメリカを始め、世界の国々にも映画館は多々あります。日本の映画館の設備はかなり充実していますが、外国の映画館も負けてはいません。それどころか、日本ではあまり考えられない設備で観賞できる映画館もあるのです。
さらに日本の映画鑑賞と異なる部分はもうひとつ、映画鑑賞の楽しみ方にあります。映画の観かたにもその国の国民性が出てくるもの。まずは海外の映画の楽しみ方のお話しです!

日本vs世界! 映画館での楽しみ方の違い

【映画鑑賞券の料金】現在、日本では一般の大人ひとりの料金は1800円から2000円ほど。さらに3Dや4D、特別な音響施設のある劇場だとプラスアルファが必要となり、2000円を超えることが普通になっています。海外の場合、たとえばアメリカだと一般料金は大人ひとり日本円で約1000円前後です。ハッキリいって日本の映画館は海外に比べると高いといえるでしょう。

【映画館の座席】日本の映画館だと鑑賞券を購入する際に座席指定をするのが常識。ですが、海外では大都会の一部の映画館以外は座席指定のない自由席で鑑賞券を購入するのが大半なのです。
実は以前は日本の映画館も基本は自由席制でした。指定席券もありましたが自由席と比べて割高の鑑賞料金でした。このためにいい席で映画を観たいなら早めに映画館に行って席を確保する必要があったのです。海外で映画を観るのであれば、上映開始ギリギリに行くようだと席がないかもしれません!

【売店で売っている物】映画館の売店で買える映画グッズは種類も豊富でかなり充実しています。飲食物の場合、日本だとポップコーンを筆頭にチュロスやホットドッグなど軽食系も購入できますが、海外ではチョコ系のお菓子やキャンディバー、アイスクリームなどのスナック系の種類が豊富です。でも…国を問わず、映画鑑賞での基本はポップコーン&コーラというのがマストかもしれません。

【エンドロールを観るか観ないか】日本の場合、ほとんどの人は物語終了後のエンドロールまで席を立たずに観ていますが、海外では物語が終わった途端席を立って帰る人が大半です。なによりエンドロール中も劇場内が暗い日本とは違い、パッと明るくなるので席を立つのも当然かもしれません。これはなにも作品を軽視しているわけではなく、国民性といえるでしょう。海外では座席で作品の余韻に浸っているヒマがない、と考えた方がよさそうです。

【映画鑑賞中のリアクション】面白いシーンでは笑い、悲しいシーンではすすり泣くのは日本の映画館でもありますが、海外では自分の感情を思いっきり出して楽しみます。爆笑や悲鳴など、リアクションがかなり大きいので初めて海外の映画館に行くとビックリするでしょう。ポップコーンなども平気で音をたてて食べちゃいます。さらにつまらない作品だと、ブーイングが飛んだり途中で席を立って帰ったりすることも珍しくありません。館内にいる全員が一体になって作品を楽しむのが海外流なのです。

超豪華系から異色系まで、世界の映画館

日本の映画館の施設の充実度もかなりですが、海外には超豪華な映画館から異色の映画館までが存在します。映画鑑賞の楽しみ方には色々ある、ということを実感させてくれる劇場の数々に驚いちゃいます!

【チャイニーズシアター/アメリカ】“世界でいちばん有名な映画館”
いわずと知れたロサンゼルスのハリウッドにあるのがチャイニーズシアターです。シアター一帯はハリウッド映画の歴史そのものでアカデミー賞授賞式をはじめとして、監督や俳優たちの手形や足形が刻まれた広場など、映画関連の観光を含めて映画界の本拠地といえるでしょう。

【カストロシアター/アメリカ】“パイプオルガンを有する異色館”
サンフランシスコにあるカストロシアターにはパイプオルガンがあり、映画館としての営業の他に様々なイベントも開催されています。特にパイプオルガンの演奏時は、その重厚な音色に聴き惚れるはず。ヨーロッパの影響を反映した超豪華な内装もポイントです。

【サイファイ・ダイン・イン・シアター/アメリカ】“ディズニースタジオ内の映画館”
ディズニーハリウッドスタジオ内にあるのがサイファイ・ダイン・イン・シアター。レストランともいえる劇場内の座席は、1950年代のドライブイン・シアターをイメージした車の座席型になっていて、食事と映画鑑賞の両方を楽しむことができます。古き良きアメリカの雰囲気を醸し出す、一度は行ってみたい映画館です。

【ラ・ジェオード/フランス】“圧巻の半球状型のスクリーン”
パリのラ・ヴィレット公園にあるシテ科学産業博物館内には、ラ・ジェオードという映画館があります。建物の外観は巨大な球形。鏡面になっている外壁には周囲の景色が映し出され、とても映画館とは思えないほど! 館内は全386席あり、半球形のドーム型になっているスクリーンは圧巻のド迫力です。芸術の都ならではの映画館ですね。

【オリンピア・ミュージック・ホール/フランス】“ベッドに寝ながら映画鑑賞”
フランスのパリには変わった映画館が多いです。オリンピア・ミュージック・ホールでは、座席の代わりにキングサイズのベッドが並べられていて、お客さんはベッドに寝ながら映画を観ます。自宅でくつろぎながら映画を楽しむ感覚の再現なのでしょうが、寝不足で行くと間違いなく爆睡しそう…。

【THE BFI IMAX/イギリス】“イギリス最大の巨大スクリーン”
イギリス最大手チェーンのODEONが運営するBFI IMAXはロンドンにあり、イギリスで最大の巨大スクリーンで映画が観られる映画館です。超巨大スクリーンのド迫力同様に、鑑賞料金もド迫力の日本円で約4500円! 海外旅行の記念に行ってみるのもいいかも。

【ホット・ダブ・シネマ/イギリス】“お風呂に入って観る映画館”
イギリスの東ロンドンにある映画館ホット・タブ・シネマは、水着を着てタブ(お風呂)に入りながら映画を観るという異色の映画館です。タブの中では飲食も自由で現地ではみんなパーティ状態で酔っ払ってます…。じっくり映画を観るというよりは、みんなでワイワイしながらその中で映画を上映している感じです。値段も約4500円と高いですが、お風呂代込みということですね。

【シネ・ド・シェフ/韓国】“映画館か? レストランか?”
韓国の釜山にあるのがシネ・ド・シェフです。韓国の大手映画館会社が運営している高級映画館なのですが、ここでは作品上映の前後にイタリアン料理を楽しむこともできます。座席は豪華な2人掛けシートになっていて、仕切りもあるのでプライベート空間的に映画を楽しめます。恋人同士だとイチャつきたくなる感じの映画館かも。

※海外で映画を観るなら…
世界にはまだまだ多くの異色映画館が存在します。まさに異文化体験ができる海外の映画館ですが、日本人が実際に現地で映画を観るのはちょっと難易度が高いでしょう。外国語、特に英語が理解できないと物語が理解できません。もし言葉が解らなくてもどうしても映画館に行きたいのであれば、物語性の薄いアクション系ならなんとかなるかも!? 半分は作品、半分は映画館自体を楽しむつもりで行くといいかもしれませんね。