日本ではほとんど意識することがない時差ですが、海外に行けば各国によって日本との時差が生じます。
そして時差の大きさによっては体調に異常をきたすことも少なくありません。
海外に行く前に時差について知っておき、海外旅行の楽しさが半減しないようにしましょう!

時差とは?

基本的な時差の概念

時差とは、地球上における地点ごとの経度の違いから生じる世界各地での標準時の“時間の差”のことです。
標準時とは各国や地域が共通で使っている地方時間のことで、イギリス・ロンドンのグリニッジ天文台を通る南北の線、経度0度線を基準にして、0度線から東や西へどれくらい経度がズレているかによって決められています。

簡単に言ってしまえば、各地域で太陽が昇って沈むまでの24時間を、人間が生活する上で便利なように時間設定しているのが標準時で、この24時間が経度の違いによって異なってくるのが時差、ということになります。

私たちは日本に住んでいるので、日本の経度(東経135度)を基本とした標準時で生活していますが、例えばロンドンよりは9時間進んでいる時差があるということになるのです。

経度・経線とは

赤道を0度として南北それぞれに90度まで表わし、赤道の北側を北緯、南側を南緯といいます。北極は北緯90度、南極は南緯90度で、赤道に平行な地球上の東西の経度を結んだ線を経線といいます。

日本と世界各国との時差

日本国内では、北海道と沖縄では計算上だと約1時間程度の時差がありますが、狭い島国ということもあり、日本のほぼ中心に位置する明石の東経135度を基本とした標準時で日本全国共通の生活しています。
例外として、北海道や沖縄で日の出や日の入りを見たいなら最大約1時間の時差を考える必要がありますが、日常生活全般では時差を気にすることはないでしょう。

ですが海外の場合にはそうはいきません。
国や地域によって様々ですが、日本との時差が大きければ大きいほど、現地での行動にも影響してきます。

日本と世界の主な主要都市との時差

日本時間を基準に、マイナスは遅れている、プラスは進んでいるということ
・ホノルル(アメリカ合衆国)   -19
・バンクーバー(カナダ)     -17
・ロサンゼルス(アメリカ合衆国) -17
・メキシコシティ(メキシコ)   -15
・シカゴ(アメリカ合衆国)    -15
・ニューヨーク(アメリカ合衆国) -14
・モントリオール(カナダ)    -14
・リオデジャネイロ(ブラジル)  -12
・ロンドン(イギリス)      -9
・マドリード(スペイン)     -8
・パリ(フランス)        -8
・ローマ(イタリア)       -8
・ベルリン(ドイツ)       -8
・アテネ(ギリシャ)       -7
・ドバイ(アラブ首長国連合)   -5
・バンコク(タイ)        -2
・シンガポール(シンガポール)  -1
・香港(香港)          -1
・北京(中国)          -1
・台北(台湾)          -1
・ソウル(韓国)          0
・シドニー(オーストラリア)   +1
・ヌーメア(ニューカレドニア)  +2
・オークランド(ニュージーランド)+3

時差による時差ボケについて

海外旅行に行く時には、日本時間で設定してある時計を現地時間に変更します。時計は単に時間を変更すればいいだけですが、身体はそうはいきません。日本との時差が大きいと、時差ボケになってしまう可能性も高くなってきます。

時差ボケの原因とは?

人は誰でも、日常生活をおくる上で体内時計が働いています。
体内時計とは要は体内のリズムで、日本人なら日本時間のリズムで動いているのですが、海外の時差によってこのリズムが狂ってしまい、身体が対応できない状態になることを“時差ボケ”というのです。

時差ボケしやすい状態がある?

時差ボケは、その人や行く地域によってなりやすい状態があります。

時差ボケしやすい人

規則正しい生活をしている
日常生活を規則正しくおくっている人は、時差での体内時計が狂いやすい傾向にあるので時差ボケになりやすいといえます。

朝型の生活リズム

早寝早起きで午前中から活発に活動している人は、時差による生活リズムの急激な変化に順応しにくく時差ボケしやすいといわれています。

神経質

現地での旅行中や旅行前後の睡眠の質によって時差ボケの症状に差があることから、普段と違うベッドや布団だとよく寝られないという神経質な人は時差ボケしやすくなります。
ストレスも時差ボケに影響するといえるでしょう。

中高年者

体内リズムは若い人ほど順応力が高いので修正しやすく、年齢が上になるほど順応するのが難しくなってきます。

時差ボケしやすい地域

時差ボケは、基本的に時差が5時間以上ある地域だとなりやすいとされています。
また、日本よりも東に移動するアメリカ方面の方が時差ボケになりやすく、症状も重くなりがちです。特に高齢者はこの傾向が強いので注意が必要です。

逆に日本より西のアジアやヨーロッパ方面では時差ボケしにくく、年齢による差もほとんどありません。

時差ボケの症状

時差ボケの症状は様々ですが、いちばん代表的なのが、昼間に眠くなったり、夜眠れないという症状です。
他にも、
・胃腸の調子が悪くなり吐き気や胃もたれを起す
・食欲がなくなる
・身体が異様にダルくなる
・身体のあちこちにコリやむくみが出る
・頭痛やめまいが頻繁に起こる
・頭がボーッとして思考力が低下する
などがあります。

時差ボケ防止対策あれこれ

時差ボケになるのを防止したり症状を軽くするための対策も色々とあるので、試してみて下さいね。

海外旅行前の対策

海外旅行のスケジュールを詰め込まない
ハードスケジュールでの旅行は疲労が溜りやすく、睡眠の調整もしにくいので注意です。
身体的にも、なるべく余裕のあるスケジュールを組みましょう。

夕方から夜に到着する飛行機にする

現地の到着が夕方以降だとホテルですぐに寝ることができるので、現地向けの体内リズムに調節しやすくなります。

出発する前に現地時間に合わせたリズムに調節する

海外旅行に出発する数日前から、1、2時間ずつ睡眠の時間帯をずらして現地時間に近づけておくと、時差ボケしにくくなります。
基本的には日本より東に行くなら早寝早起き、西に行くなら遅寝遅起きをするといいでしょう。
ただし、仕事などに影響が出てかえって疲労が溜るようなら逆効果。できる範囲でやりましょう。

海外旅行中の対策

飛行機内での過ごし方

フライトが長時間になると時差ボケしやすくなるので、機内での過ごし方も大切になってきます。
まずしておきたいのは、搭乗後に時計を現地時間に設定し直しておくこと。
そしてその時間に合わせて行動することです。機内食などは現地時間に合わせて提供されるので、お腹がすいていなくてもできるだけ食べるようにして、現地のリズムに慣れるようにしましょう。
そして現地時間が夜なら寝て、昼間なら眠くても起きているようにします。どうしても眠いなら1、2時間ほどの仮眠を取るようにします。

飲食では、食事は腹八分目、アルコールやカフェインの取りすぎにも注意です。
また、水分を小まめに取り、身体を締めつけない服装やストレッチなどでリラックスできる状態を作りましょう。安眠マスクやネックピローなどを使うと効果的です。

現地では現地時間での行動が鉄則

現地到着が昼間なら外に出て行動開始、夕方から夜ならホテルでシャワーを浴びて寝るようにします。
大切なのは、現地時間に合わせて“昼は動き、夜は寝る”行動を守ることです。
太陽の光を浴びると体内リズムを調節しやすくなります。
現地に長期滞在するなら、最初のうちは休憩を多めにとって行動して、身体が現地時間に適応するようにします。
また、短期滞在の場合には特殊な例として、無理に現地時間に合わせようとはせずに、日本時間での行動を通してしまう方が身体に負担がかからない場合もあります。

海外旅行後の対策

いきなりの激務は避ける

日本に帰国後、仕事などでハードな行動はなるべく控え、できるだけ身体を休めます。可能なら翌日は休日にするのがベストです。
そしてゆっくりリラックスして睡眠を取り、体内時計を日本時間に戻していきましょう。