世界の美術館や博物館では、日本では見られない珍しい芸術品や歴史に関する展示物を数多く見ることができます。さらに日本と比べると入場料が安いのもポイント。まだ油断はできないものの、新型コロナもかなり落ち着いてきた昨今。これからの海外旅行計画にオススメの美術館や博物館を紹介していきましょう。

チャンスを逃さず、訪れるべき美術館&博物館

日本の美術館などでも、世界の有名な絵画などの芸術品をよく展示していますが、そこで見られるのは作品のみ。ですが世界各国にある美術館や博物館では、現地の空気感、アーティスティックな建物の外観、そしてその土地の歴史や文化に直接触れることができます。これこそが、実際に海外の美術館や博物館を訪れる醍醐味なのです。

美術館&博物館巡りのポイント

※旅行の目的で何を優先するかで決める
いちばん基本的なことで重要なのが、海外旅行の目的です。美術館などが主な目的であれば旅行先から効率のいい巡り方を考えて美術館や博物館を選べばいいですし、他に目的があるならば、あまり予定を詰め込みすぎないように選ぶようにしましょう。

※できるだけ観賞時間に余裕を持つ
場所にもよりますが、海外の美術館や博物館は広大な所も多いです。1日で回りきれない場合もあるので、観賞する時間は多めに考えた方がいいでしょう。あまり時間が取れないようであれば、事前に見たい展示物をピックアップしてそれを中心に観賞するのが効率的です。

※事前予習でより深い観賞をする
旅行に行く前に、ネットなどで訪れる予定の美術館、博物館の詳細をチェックしておくと、実際に訪れた際により深く芸術品を観賞できます。また、スマホのアプリに世界中で使える「音声ガイド」もあるのでこれを利用するのも方法です。そして忘れてはならないのが開館時間と休館日。さらに現在では新型コロナのこともあるので注意事項などもしっかりと確認しておきましょう。

一度は訪れたい世界の美術館、博物館

【1、ルーブル美術館/フランス、パリ】
フランスの国立美術館であるルーブルは、世界で最も有名な世界最大級の美術館です。「モナリザ」や「ミロのヴィーナス」などの代表的展示物だけではなく、古代ギリシャやエジプト、ローマの美術、彫刻品なども多数展示していてそのボリュームは圧巻です。1793年に王室所有の美術館として開館したルーブルは、美術館としてだけではなくフラン王の要塞だった史跡が見られる地下部分も見逃せません。できれば1日以上の滞在がおすすめです。

【2、オルセー美術館/フランス、パリ】
元はオルレアン鉄道のオルセー駅の鉄道駅舎兼ホテルだった所を、フランス政府の保存活用策で1986年に美術館として開館しました。印象派の殿堂といわれるだけに、マネ、モネ、ルノワール、ドガ、セザンヌの作品を中心として展示されています。絵画だけではなく、写真、工芸品、家具など多種の展示物も観賞できます。

【3、大英博物館/イギリス、ロンドン】
1759年に創立した、歴史ある世界最大の博物館。古代エジプトの石版「ロゼッタ・ストーン」、パルテノン神殿の彫刻「ヒントン・セント・メアリーの床モザイク」をはじめ、旧石器時代から近代までの世界の文化遺産が集められています。日本のギャラリーもあるので、訪れた際には見逃せませんね。また、博物館自体も芸術品といわれる美しさ、壮大さを持っています。入場が全て無料なのも嬉しいところ。

【4、メトロポリタン美術館/アメリカ、ニューヨーク】
1872年に開館した、マンハッタンの名所としても知られる美術館。私立の美術館ながら約300万点の収蔵品を誇る世界3大美術館のひとつです。ギリシャ、ローマからエジプト、ヨーロッパ、アジア、アフリカなど世界中の美術品が結集しています。さらに入場料は“希望額”という私立ならではの方式になっているのもポイントです。

【5、9/11メモリアル&ミュージアム/アメリカ、ニューヨーク】
現在でも記憶に新しい“2001年9・11アメリカ同時多発テロ事件”をテーマにしたミュージアムです。当時のニュース映像や写真、犠牲者たちの遺品や当時現場にいた人たちの証言を基にした資料などが展示されています。テロで崩壊した世界貿易センタービル跡地に建てられていて、3000人近い犠牲者に追悼を捧げています。追悼碑となっている2つの噴水もあります。

【6、第二次世界大戦博物館/アメリカ、ルイジアナ】
ルイジアナ州ニューオーリンズにある全米トップの人気を誇る戦争博物館。有名なノルマンディ上陸作戦から大日本帝国と戦った太平洋戦争など、第二次世界大戦の歴史を詳しく紹介しています。その内容には賛否両論ありそうですが、遺物や体験談などを通して、アメリカから見た戦争の歴史を感じることができます。

【7、国立人類学博物館/メキシコ、メキシコシティ】
マヤ文明やテオティワカン文明をはじめ、メキシコ各地の古代文明を展示した世界有数の考古学博物館です。文明や地域ごとに展示部屋が分かれていて、各文明の特徴が判りやすくなっているのがポイントです。1790年に発見された“アステカ・カレンダー(アステカの暦石)”、別名「太陽の石」は必見です。メキシコシティ市街にあるので行きやすいのも特徴ですね。

【8、美術史美術館/オーストリア、ウィーン】
1891年に開館した、ハプスブルグ家の400年に及ぶ美術コレクションを中心に観覧できる美術館です。古代から19世紀のヨーロッパ美術の美術品が展示されていて、特に「バベルの塔」や「農民の踊り」などのピーデル・ブリューゲルの作品を数多く楽しめます。展示物以外にも、館内の天井や壁の壮大な装飾は圧巻です。

【9、大エジプト博物館/エジプト、ギザ】
老朽化したエジプト考古学博物館(通称カイロ博物館)から約10万点の展示物を引き継ぎ、2022年に全面オープンする予定の博物館。先頃、古代エジプトのクフ王の大型木造船である“太陽の船”が移送されたこともニュースになりました。他にもツタンカーメンの“黄金のマスク”や“棺”なども展示予定です。新型コロナが落ち着きそうな2022年、本物の古代エジプトの風を感じに訪れるのも一考です。

【10、故宮博物院/台湾、台北】
1965年、紫禁城を参考にして建てられたのが故宮博物院です。院内に収蔵されているのは書画、銅器、磁器、彫刻、図案、文献などで、その総計は約69万点にも上り、アメリカ、イギリス、フランスの美術館と並んで世界4大博物館のひとつといわれています。さらに故宮の側には至善園という中国の古典庭園芸術を再現した公園があり、8つの景勝地で中国庭園の美しさを堪能できます。

【11、新アクロポリス博物館/ギリシャ、アテネ】
2009年に開館した新アクロポリス美術館には、以前アクロポリスの丘の上にあった博物館に所蔵されていたアクロポリスからの出土品を展示しています。古代の人々が使用した壺やアクロポリス初期の作品、エレクテイオンのオリジナルの少女柱、アテナ・ニケ神殿のレリーフなどを見ることができます。まだ新しい館内の中には、遺跡から出土した貴重な文化財が並んでいます。

【12、エルミタージュ美術館/ロシア、サンクトペテルブルグ】
ロシアの女帝エカテリーナ2世のコレクションを集めた絵画収蔵室として建てられた、世界遺産にも登録されているロシアの国立美術館です。歴代皇帝が収集したルネサンスから近代に至る名画や、モロゾフらのコレクターによるフランス印象派など作品を所蔵しています。また、空中庭園をはじめとしてかつての華やかな宮廷生活を忍ばせる建物の美しさも見ものです。さらに人数限定の予約が必要な特別秘宝室「ゴールデンルーム」、「ダイヤモンドルーム」もぜひ入室したいところです。