以前の本コラムで「ヒッチハイク」を紹介しましたが、海外を旅するスタイルには他にもバックパッカーをする、という方法があります。ヒッチハイク同様、バックパッカーという言葉は聞いたことがある人も多いかもしれませんが、その詳細はあまり一般的ではないかもしれません。今回はバックパッカーについて解説していきましょう。

バックパッカー旅とは?

バックパッカーの名称の由来

バックパッカー(Backpacker)とは、簡単にいえば個人手配で海外旅行をするスタイルのことをいいます。バックパッカーという名称の由来は、バックパック(リュックサック)を背負って旅をする人のことで、1960年代のヒッピー・カルチャー全盛時に新たな価値観を求めて国外に出た若者たちが、バックパックひとつで低予算の旅をしていたことから“低予算で国外を旅する人”を指していうことが多くなっています。
また、バックパックを背負っている人がすべてバックパッカーというわけではなく、スーツケースだろうがバックパックだろうが、ツアーなどに参加するのではなく「自分で自由に旅の行程を組み立てて旅行をする人」のことをバックパッカーといいます。ただし、フリーの旅行なのでフットワークを軽くしておくのも大切であり、その意味ではスーツケースを転がしていくよりはバックパックを背負った方がいい、という部分はあります。

バックパッカー旅の内容

バックパッカー旅の基本的な内容としては、前述したようにツアーに参加したり旅行会社を利用したりせずに、あくまで個人的に計画を立てて旅をすることです。旅行のすべてを自分でしなければならないので通常の海外旅行よりも大変ではありますが、バックパッカーならではの魅力はいくつもあります。さらにバックパッカーならではの注意点にも気をつける必要があります。

※メリット
【低予算で旅を楽しむ】もしあなたがいいホテルに泊まり、有名な観光地巡りやグルメを楽しみたいのであれば、バックパッカー旅はオススメしません。バックパッカーの魅力は“低予算で旅ができる”からです。ユースホステルやゲストハウスを探して泊まり、遠回りになるとしても公共交通機関を利用して移動することで旅費を節約します。といっても体調が悪いときに無理矢理というわけではなく、自分の状態に応じて選択すればいいので、この部分でも自由度が高いといえるでしょう。

【思いのままの旅行プランが立てられる】旅行会社などのプランやツアーを使わないことで、自分の思いのままに自由に旅行プランが立てられるのもバックパッカーの利点。ですが、何から何までを自分たちでやらなければならないので、手間がかかり苦労することもあります。このことからもバックパッカー旅はある程度海外旅行に慣れた人向きといえます。また、複数人でバッックパッカー旅をするなら、慣れてる人に習うといいでしょう。

【長期間の旅行が可能】旅費が節約できることで、望むなら長期間の旅行をすることも可能になります。これは旅費もそうですが、おおよその日程で旅行をするバックパッカーなら途中で旅行スケジュールの変更がいくらでもできるからです。ツアーやパック旅行のガッチリと決められた日程では絶対にできない利点でしょう。

【現地の人と触れ合い、文化や価値観を共有できる】宿泊先だけではなく、食事の調達も自分自身で決めるのがバックパッカー旅です。レストランで食事をするのもいいですが、地元の屋台や宿泊先で自炊をすることで本当の意味での現地の食文化を体験して、現地の人たちとも触れ合えます。通常の観光旅行では体験することのできないリアルな文化や価値観を知ることができるでしょう。

※注意点
【スリや窃盗には十分に注意】バックパックなど、通常の海外旅行よりも荷物が少ないということは、持ち物のすべてをひとつにまとめて持つということです。もしこの荷物を盗まれたら…大変な事になります。どんな場合でもバックパックなどの荷物から離れることはせずに、「常に足下に置いておく」「荷物と身体を結びつけておく」「パスポートや財布などは身体に密着するポーチに入れて着けておく」など、万全な防犯対策を心がけましょう。
◎危険とされるエリアには近づかない
◎日が落ちたら外出しない
などの注意も忘れずに!

【体調管理には常に気を使う】体調が悪いのに無理に歩いたり、安価な宿泊施設に泊まると悪化させることにもなります。万が一、体調が崩れたら無理をせずに列車やバス、タクシー、ホテルなどを利用することも大切です。また、体調を崩さないためにも暴飲暴食や睡眠不足などは避けることが基本。もしものために頭痛薬や鎮痛剤、風邪薬、胃腸薬、湿布薬などを持って行くことも重要です。

【ある程度の余裕を持った旅行にする】
旅費にしても日程にしても、よほどバックパッカーに慣れていない限りはある程度の余裕を持って行動することも大切です。ギリギリで旅をする醍醐味もありますが、それだけ危険が伴います。時にはバックパッカー旅を中止するのも選択肢です。何事もあまり無理をせずに、自由な発想で旅行をするのがバックパッカーなのですから。

※変化している近年のバックパッカー旅
バックパッカー旅も時代と共に変化しています。通常のバックパッカーでは旅費を抑えて旅をしますが、この他にも旅行の内容やホテル、持ち物などで部分的にお金をかけるこだわりの「フラッシュパッキング旅」や、進学や就職のタイミングだけにバックパッカー旅をする「ギャップパッキング旅」など、新しいスタイルが誕生しています。何事にも自由なバックパッカーならではの変化ですね。

バックパッカーを実践するなら…

実際にバックパッカー旅をするなら、それなりの準備と計画が必要となります。ここでは基本的な実践テクニックを紹介しましょう。

【持ち物】自由度の高い旅行のためには、自由度の高い身軽なスタイルが望ましいです。このことから持ち物はすべてバックパックひとつに収める必要があります。通常の海外旅行のように、あれもこれもではなく、厳選した持ち物のみを持つようにしましょう。また、万が一の緊急時のために、海外旅行保険(最低限クレジットカード付帯)の加入と、日本領事館や大使館、警察、病院などの連絡先をまとめたメモは貴重品として持って行きましょう。
※必要な持ち物
パスポート/観光ビザ/貴重品用ボディバッグ/クレジットカード/海外旅行保険証書のコピー/スマホ/充電器/変換プラグ/懐中電灯/アメニティグッズ/薬類/洗剤/雨具/下着/若干の着替え/自動翻訳機

バックパッカー旅の基本的な1日

【宿泊先】現地に着いたら、出発前に考えたどこをどう旅するかの大まかな計画に沿って行動を開始します。まずはその日に泊まる宿泊先の確保です。現地でユースホステルやゲストハウスを探すのもいいですが、「Booking.com」などのホテル割引き予約サイトで予約しておくと安心できます。

【食事と洗濯】お金のかかる外食を避けたいのなら、宿泊先のキッチンで自炊をします。もちろん洗濯もここで! ちなみに洗濯は宿泊先で頼むこともできますが旅費を節約するなら自分でするようにしましょう。

【移動】目的地に向かって移動をしますが、この時にはスマホなどで交通機関の場所と行き先をしっかりチェックします。距離と体調によっては歩いてみるのもバックパッカーならでは。また、ヒッチハイクをするというのも方法のひとつです。

海外でちょっと冒険! ヒッチハイクのことを知ろう
https://www.interbank.co.jp/column/220820/

【現地の人との触れ合い】最初は勇気がいりますが、せっかくのバックパッカー旅です。現地の人と会話をしてみましょう。外国語が解らないなら自動翻訳機を使えばOK。失礼のない態度で日本から旅行に来たことなどをお喋りしてはどうでしょう? ただし、安易に個人情報を教えたり、着いていったするのは絶対にNGですよ!