新たな人生の門出、祝い方もさまざまな世界の結婚式
結婚式といえば2人の新しい人生のスタートを祝う、一度きり(たぶん…)のお祝いイベントですよね。日本ではその昔は盛大な内容のハデ婚が流行りでしたが、近年ではあまりお金をかけないジミ婚が多く、その分のお金で旅行へ行ったり家具などを購入したり、貯蓄に回したりする人が増えています。
では海外はどうでしょう? 今回は、国によって祝い方が違う世界の結婚式事情を紹介していきましょう。
世界の結婚式、その歴史と文化を知ろう
海外の結婚式を紹介する前に、まずは世界の結婚式の歴史と文化についてのお話しです。日本の結婚式にも多大な影響を与えている欧米の結婚式をメインに、世界での歴史と文化を知るのも面白いですよ。
欧米の結婚式の歴史と文化
【結婚と結婚式の始まり】古代のユダヤ民族やゲルマン民族の社会は父系首長が統率する親族集団で、結婚は首長の指示に従って行なわれていたのです。この頃、女性は結婚によって男性の氏族に入り、結婚の解消(離婚)は夫である男性の方からのみ一方的に解消できるという制度でしたが、初期のローマで結婚は当事者同士が儀式をすることで結ばれるようになり、男女どちらからでも離婚することができるようになったのです。
【古代ローマからあったジューンブライド】6月の花嫁は幸せになれるというジューンブライド(June Bride)の風習は、古代ローマ時代からあったそうです。最高神ユーピテルの妻で、女性の結婚生活を護る守護神ユーノーの名前をとり、2人の新しい人生に幸せをもたらしてくれると考えられました。
【ハネムーンの語源】古代のゲルマン民族は結婚後の約30日間、ハチミツ酒を飲む習慣があり、これがハチミツと月でハネムーン(Honeymoon)になったという説があります。
【婚約指輪と結婚指輪】婚約指輪の風習も古代ローマ時代から始まったという説があり、“契約の印”という意味があるそうです。また、キリスト教が広まって結婚式を重視するようになると、式で結婚指輪を交換する慣習も始まりました。ちなみに、指輪を左手の薬指にはめるのは、古代エジプトで左手の薬指に流れる血は心臓に直接通じているとされたことが由来で、この指に指輪をすることで夫が妻の心をつなぎ止めることができると考えられたからなのです。
【結婚式の様式に大きく影響したキリスト教】衰退したローマ帝国を再統一したコンスタンティヌス1世がローマ帝国の皇帝としてはじめてキリスト教を信仰してから、キリスト教はヨーロッパへ浸透していきました。その後ローマ・カトリック教会が農村共同体の中心的存在となり、教義によってキリスト教式結婚式が全ヨーロッパ的な風習となってきました。
世界には多くの国があってその文化も様々ですが、キリスト教という宗教文化が現在までの結婚式に与えた影響は大きいものです。そもそも古代では結婚は宗教的な意味合いが強かったのですが、それが現在の民事的な契約に変化しました。とはいえ、国や地域によっては今でも宗教的な意味合いが大きく残っている伝統的な結婚式スタイルもあります。
日本とは違う? これが世界の結婚式
ここからは国や地域の違いから見る世界の結婚式を紹介しましょう。中にはビックリするような結婚式もありますが、これは年月が経ったことでスタイルが大きく変化した結果だといえます。厳かな式からビックリするような式まで、多種多様な結婚式が存在します。
国別世界の結婚式
まずは各国の一般的な結婚式スタイル。いいなと思う結婚式があるなら、一生の思い出になるように海外で式を挙げるのもいいかもしれませんね。その先のことはさておいて…。
【アメリカ】多国籍人種が混合して暮らす国アメリカでは結婚式もさまざま。ウエディングプランナーに企画してもらう富裕層の豪華な披露宴から自宅でのカジュアル・スタイル、移民系の厳粛なカトリック式やネイティブアメリカンの伝統的の挙式までと色々なスタイルがあります。式が近くなると“ブライダルシャワー”という花嫁を囲む女性だけのパーティが開かれます。逆に花婿を囲むだけのパーティも。映画やドラマでよく見かけるアレです!
【イギリス】多くの宗教宗派が存在する他民族国家のイギリスでも、宗教上の結婚式や無宗教の結婚式などとケースによって色々ですが、どのケースでも結婚の証人2人の立ち会いと署名が必要です。教会で挙式する場合には土曜日に行なわれることが多く、これは日曜にミサがあるため。戸籍制度がないイギリスでは重婚などを避けるために結婚許可証が必須です。
【フランス】教会での宗教婚と市町村の役場での民事婚があるフランス。式の後の宴会では食事の後にダンスタイムがあり、朝方まで踊り続けることもあるとか。また、恋愛にオープンで離婚も多いフランスでは入籍しないで子どもを産んで共同生活を送る事実婚が増えていて、事実婚カップルにも法的権利を与えるPACS(連帯市民協約)という制度もあります。さすが進んでいる国は違いますね!
【イタリア】イタリアはカトリックの国ということもあり、数多くある教会や聖堂でミサや結婚式が行なわれていますが、役所での挙式も可能です。式の後にはレストランなどで披露宴を行ない、家族や友人たちとのお祝いの行列などで賑やかにお祝いをします。信仰心を大切にしながら陽気に挙式するのがイタリア流といえるでしょう。
【中国】中国の結婚式には独自の文化が多くあります。代表的なのは縁起がいいとされる数字の8に準じて式を行なうこと。“式の日取りは8の付く日”“新郎新婦の入場時間は8の付く時間”と決まっています。そして式を挙げる2人は高級車に乗って、周囲に結婚式と解るように移動します。車までは新郎が新婦の足が床に付かないようにお姫様抱っこをして部屋から運びます。昔からのしきたりが多いのが特徴といえますね。
【インド】インドでは人生の中での最大の行事が結婚式とされていて、その規模もお金をかけて盛大です。挙式も3日間から長いと1週間続き、古くから伝わる多くの伝統儀式を行なっていきます。インドの花嫁は手足に“ヘナタトゥー”を入れます。時間が経つと消えるこの美しい模様は「幸せに暮らせるように」という願いが込められています。また、結婚指輪を足の指にするのも特徴です。
現代ならでは! ブッ飛び結婚式
ここからは信じられないようなブッ飛び結婚式をご紹介! 発案は当事者たちがしたものが多いのも納得。自由に自分たちの門出を祝うのが現代流かもしれません。
【空中結婚式】ベルギーの2人が挙げたのが空中結婚式。コンパクトにまとめられた式場をまるごとクレーンで約50mの高さに吊り上げて式を敢行。そのまま披露宴まで行なったといいます。高所恐怖症の人は…欠席ですね。
【気球結婚式】トルコのカッパドギアにあるのが、気球に乗って式を挙げる気球結婚式。広大な大地を見ながらの挙式は凄そうです。また、アメリカのラスベガスではヘリコプターに乗って式を挙げるプランもあります。外国人って、高い所がお好きなんでしょうか?
【サイクリング結婚式】サイクリングが好きなロシア人2人が挙げたサイクリング結婚式。新郎新婦だけじゃなく、式の参加者たちも自転車に乗って走る走る! 一生の思い出になることは間違いなさそうです。
【赤いバラ結婚式】中国人2人が行なったのが、99999本のバラを自動車の車体や地面に敷き詰めた赤いバラ結婚式。いったいどれ位の費用がかかったのでしょう。それがいちばん気になるかも!?
【海中結婚式】タイのトランという地域では、毎年バレンタインデーの2月14日に水中結婚式を行なっています。ダイビングスーツで海に潜り、海中で結婚証明書にサインをします。見届け人は色とりどりの魚たちです。