みなさん、日本の中に外国があるって知ってますか? その場所の中は地理的には日本の国土内ですが、基本的には外国となります。それが在日大使館や領事館というわけです。大使館や領事館、というとお堅いイメージがあって中に入ることはできないと思いがちですが、実は大使館内を見学することができるところもあるのです。

大使館や領事館ってどんなところ?

日本国内には、2023年1月の時点で大使館154、領事館67、政府代表部10があり、これらをまとめて駐日外公館といいます。まずはそれぞれがどんな役割を持っているのかのお話しです。

大使館

大使館は“大使を長とする在外公館”という意味であり、多くの外交特権が与えられています。そして大使館の敷地内は治外法権なので、外国(在日大使館であれば日本)の警察や軍隊は勝手に入ることができません。また、大使館の設置は首都にひとつだけと決められているので、日本にある各国の大使館はすべて東京に集約されています。

【役割】大使館には、主にその国を代表して相手国政府との連絡や話し合い、自国と自国民の利益の保護、外国との文化交流を促進する役割があります。また、大使館では、特命全権大使が国を代表して、外交問題や政治問題に対応する権限を持っています。この権限からも、大使館は各国の首都に設置されるのが原則となります。これは大使館ならではで、領事館にはこれらの法的権限はありません。

【業務内容】自国民の保護/ビザの発行/証明書の発行/派遣国に存在する企業へのビジネス支援/自国製品の輸入促進/接受国(外交領事館を受け入れる国)の情報収集、政治動向の調査と分析など

領事館

領事館とは“領事が職務を行なう在外公館”という意味で、領事は外国で自国や自国民を保護する役割を持っています。また、領事館は在籍する館長の階級によって名称が違い、館長が総領事なら「総領事館」、領事なら「領事館」、副領事なら「副領事館」となります。

【役割】領事館は、在外国民の保護や当該国に関する情報収集、国際交流と広報、戦争や災害などの不測の事態が起こった場合に大使館の機能を補完する、といった役割が主となります。また、不測の事態で共倒れになることを防ぐために、大使館のある首都ではなく別の主要都市に設置されるのが基本です。

【業務内容】自国民の保護/ビザの発行/証明書の発行/友好親善/国際会議の準備/接受国(外交領事館を受け入れる国)の情報収集など

政府代表部

政府代表部はその国を代表して国際機関や外国などに駐在する機関のことで、大使館や領事館とは異なり、主に国際機関に対して国を代表する存在です。このために政治代表部は国連などの国際機関の所在地に設置されています。

【役割と業務内容】国際機関に対する様々な案件に対して、国を代表する役割と業務を行なっています。

これら3つの在外公館は外交上とても重要な拠点であり、大使館は各国に対して国を代表し、領事館は各国の都市に対して国を代表し、政府代表部は国際機関に対して国を代表する存在となります。

在日大使館を巡ってみよう!

東京都内にある世界の大使館ですが、各国の重要な拠点でもあるので簡単に中に入ることはできません。ただしそのチャンスはあります。また中に入らずとも各大使館の特徴的な外観を見て回るのも楽しいものです。

【大使館の建物を見学】いつでも自分の好きなときにできるのが大使館自体の外観を見て回る巡り方。その国を代表して建てられているだけに、各国が異国情緒溢れる立派な外観をしています。見るだけでも楽しいと思いますが、外観を撮影したくなりますよね。ですが、むやみに撮影するのは避けた方が無難。重要拠点なだけに外観でも撮影禁止の場合もあります。どうしても撮りたいのであれば、大使館の係員(警備員)などに撮影してもいいかを聞いてからにしましょう。

【大使館の中を見学】大使館の役割に“文化交流の促進”があることから、その国の良さをアピールするイベントや展覧会が定期的に開催されることもあります。この時が中には入れるチャンス! ただし館内で禁止されていることもあるので、きちんと確認することが大切です。イベントなどの情報は、各大使館のサイトなどで要チェックです。また、旅行会社などで大使館巡りツアーを組むこともあるのでこちらもチェックしましょう。

大使館巡りのおすすめリスト

ひとくちに大使館といっても、国の規模などでその外観などはさまざまです。せっかくの大使館巡りなので、見て感動できるような場所に行きたいですよね。ここからは巡るのにおすすめの大使館をご紹介。
また、効率よく大使館巡りをするためには所在地の把握も重要。在日大使館のポータルサイトで詳細を確認して計画を立てるのがおすすめです。

在日大使館ポータルサイト
http://www.embassyin.jp/

【アメリカ大使館/港区赤坂】日本のビルとは違い、ハリウッドの社会派映画に出てきそうな外観なのがアメリカ大使館です。1年に一回、敷地内を開放して“コミュニティ・フレンドシップ・デー”やフリーマーケット、その他のイベントが開催されているので、チャンスがあったら参加してみましょう。

【イギリス大使館/千代田区一番町】オシャレ度でいうとナンバー1なのが、ルネッサンス様式のイギリス大使館です。大使館前には桜並木が続き、敷地内にも約50本の桜木が植えられているので春には大人気お花見スポットに! 秋には紅葉も堪能できるので四季を通じて美しく優雅な景色で魅せてくれます。

【フランス大使館/港区南麻布】日仏交流150周年記念で2009年に建替えられたフランス大使館。“森のオフィス”をテーマに設計された、まるで美術館のような外観がとても美しく、敷地内には徳川幕府時代から残るといわれる庭園もあります。イベントもよく開催されているので、公式サイトでチェックしてみましょう。

【オランダ大使館/港区芝公園】美しい木々に囲まれて建っているのがオランダ大使館です。オシャレな外観の建物の周囲は和風庭園になっていて、沢山のチューリップが咲き誇ります。森の中にあるような大使館も珍しいので、特別開放されるときにはぜひ訪れたいところです。

【スウェーデン大使館/港区六本木】六本木の中でスタイリッシュな外観が目を引くのがスウェーデン大使館。建築家ミカエル・グラニートが、太陽の動きから発想を得て設計したといわれています。イベントもよく開催されているようなので、六本木でのショッピングも兼ねて訪れてみるのもいいですね。

【ドイツ大使館/港区南麻布】コンクリートの打ちっぱなしが、いかにもな雰囲気を醸し出しているのがドイツ大使館です。建物を囲む周囲の壁には、時期によって様々なイラストが貼られています。

【イラン大使館/港区南麻布】大使館の中でも特にオシャレで壮大な外観を誇るのがイラン大使館です。壁にはイランの建築物や自然などを紹介する写真がズラリと飾られています。また、大使館の対面にはイラン人の学校があり、普段はあまり見かけないペルシャ語の表記が印象的です。

【エジプト・アラブ共和国大使館/渋谷区青葉台】旧山手通り沿いの斜面に建てられているのがエジプト・アラブ共和国大使館です。大使館の前には数体のスフィンクスなどが飾られていて、撮影スポットになっているとか。エジプトマニアには外せない場所です。見学できることもあるので、興味のある人は見逃さずに!