日本にはない海外の文化としてチップがあります。海外旅行に行って、チップのことは知っていてもどれくらいの金額をどんなタイミングで渡したらいいのかが解らないこともあるでしょう。チップに関しては以前このコラムでもテーマにしましたが、今回は2024年最新版として世界のチップ事情についてお話ししていこうと思います。

チップの基礎知識

まずはチップの基礎知識です。その歴史と流れ、現在のチップ事情などをお話ししていきましょう。

チップとは?

チップとはホテルや飲食店、タクシーなどで何らかのサービスを受けたときに、“ありがとう”の意味を込めてメイドやポーター、ウェイターなどのスタッフやドライバーなどに渡す礼金のことです。日本でも旅館などではお心付けとしてお金を包んで渡す風習がありますが、これは必ず渡す必要があるというのではなく、文字通り渡す側の気持ち次第。ですが海外のチップは、基本的には“渡す必要があるもの”となっています。

【チップの歴史】チップの由来は諸説ありますが、中世から18世紀ころにヨーロッパの国で始まったとされていて、意味合いとしては「これをよろしく」「いい仕事ありがとう」「早めによろしく」という気持ちで迅速性を保証する“To Insure Promptness”の頭文字からtip(チップ)といわれています。
チップは最初、ヨーロッパ全土に拡がりさらにヨーロッパ諸国の植民地まで拡大、19世紀のアメリカでは労働者を安い賃金で使うために雇用者は給料をほとんど払わずにお客からのチップを彼らの収入にさせていたそうです。

【現在のチップ事情/アメリカ】現在でもチップの文化が根強く残っているのがアメリカです。昨今でもチップありきの賃金設定の場合が多く、チップを想定した職種ではチップなしの職種の3分の1程度の最低賃金になっている州も多いといいます。これが要因で利用客側は感謝の気持ちの任意ではなく、半強制的にチップの支払を求められます。
近年、このことからアメリカではチップをめぐる悩みが増していて、コロナ渦以降、それまでチップがなかったファーストフードやカフェでデジタル決済機の導入と共にチップを求めるようになっています。さらに物価の上昇に便乗する形でチップの金額も値上がりしていて問題となっています。

【現在のチップ事情/ヨーロッパ】アメリカに対してヨーロッパでは、現在“脱チップ社会という流れがあって、レストランなどではサービスチャージという形で通常の会計にチップ相当分を組み込むことでチップを払わなくても問題なしという流れになってきています。もともとアメリカほど強制的にチップを払う文化がなかったこともあり、脱チップは拡がっています。
ただし、国によっては昔からの風習が残っている場合もあり、マナーとしてチップが必要となるシーンもまだまだあります。

海外旅行時のチップ基礎知識

海外旅行では、国によってチップが必要だったりいらなかったりと様々です。旅立つ前に行く国のチップ事情をしっかりと確認して、その意味をきちんと頭に入れておきましょう。

チップが必要な国と不必要な国

チップは国によって払う必要のある国と不必要な国があります。まずはこのことを知っておかないと余計にお金を使ってしまうことになり、場合によっては恥をかいてしまうことも…出発前に要チェックです。ここでは日本人の海外旅行先として、馴染みのある国の一部を掲載していきます。

※チップが必要な国
【アメリカ/カナダ/メキシコ/エジプトなど】前述したように、特に現在でもチップ文化が根強くあるアメリカでは必須です。ホテルや飲食店、タクシーなどの色々な場所でチップが必要です。

※一部でチップが必要な国
【イギリス/イタリア/オランダ/スペイン/デンマーク/スウェーデン/ノルウェー/ギリシャ/インド/フィンランド/マレーシア/ドバイなど】この国々では必ずチップが必要ではないですが、サービスや感謝の気持ちとして渡す習慣があります。サービスなどがよくて嬉しかった場合などは、たとえば端数を切り上げてお釣りをチップとして支払う感じです。このパターンは日本でも見られると思うので馴染み深いかもしれませんね。