世界のストリートアートを見に行こう!
ストリートアートって知ってますか? これは簡単にいえば街中で見ることのできるアートで、美術館などに展示されている作品とはひと味もふた味も違う魅力のあるアートのことです。日本を含めて、世界にはこのストリートアートが多数存在します。
今回は、そんなストリートアートの魅力についてお話ししていきましょう。
ストリートアートとは?
ストリートアートとは、街中にある建物や壁、さらに電車やバスなどの公共の場所に描かれる作品のこと。大きなポイントはアーティストたちが自由な発想と手法を取り入れて、グラフィティやポスター、貼り絵などの様々な表現方法で作品が描かれていることです。これらの作品は誰もがいつでも自由に鑑賞できることも特徴です。
【ストリートアートの歴史】現在では作品が高額で落札されたり、アパレルブランドと提携してコラボTシャツが発表されたりと、経済的な部分での繋がりも多くなっています。そんなストリートアートの歴史は古く、一説によると1920年から1930年代にニューヨークのギャングたちが壁や電車の車体に落書きを始めたことがきっかけといわれています。
そして1980年代以降には世界中に拡がり、各国の文化やスタイルに多大なる影響を与え続けています。
【ストリートアートとグラフィティアート】ストリートアートといわれる作品の中にはグラフィティアートと呼ばれる作品があります。グラフィティアートとは主に文字やシンボルを用いた落書きやタグのことをいい、描くアーティスト自身のアイデンティティやメッセージを強く反映させているのが特徴です。
ストリートアートが許可を得て都市などの公共空間に合法的に展示されるのに対し、グラフィティアートでは非合法で描かれていることが多いです。とはいえこの2つには共通点も多いことで、これらの総称としてストリートアートと呼ばれることが一般的です。
【ストリートアートのテーマ】ストリートアートで描かれるのはアーティストの自由な発想からで、通常の美術作品よりも強いメッセージが込められている作品が多いといえます。個人的メッセージだけではなく、政治的メッセージや社会問題などを風刺したものも多く、鑑賞者に強烈な印象を与えることも珍しくありません。近年で有名なのがバンクシーによる作品で、戦争や貧困などに対する風刺作品が世界的に評価されています。
【描かれる作品の主な技法】多種多様な技法を使って作品を創るのもストリートアートの特徴です。
※スプレー
ストリートアートの代表的な技法で、スプレー缶を使って絶妙な強弱による大胆さと繊細さを表現します。落書きレベルですが、日本にもある河川敷などに大胆に描かれている文字や絵などもスプレーを使用したものがほとんどです。
※グラフィティ
文字などをスプレーペイントで描く技法です。作品を描いた人の名前などはグラフィティを使うことが多いです。
※ステンシル
図案やデザインを切り抜いた型紙を使って作品を描く技法。ステンシルでは正確かつ繊細なイメージを表現できる上に、型紙を使えば何度でも同じものを創り出せます。
※モザイクタイル
大小のタイルや破片などを組み合わせて表現する技法です。タイルの素材感や色、形などで様々なバリエーションが生まれます。どんなタイルをどう使うか?という、アーティストのセンスが問われる技法といえるでしょう。
※ステッカー
市販されているものやアーティストが独自に創ったステッカーを貼っていく技法です。ステッカーのデザインをいかに作品に活かすかが重要であり、この技法もアーティストのセンスが鍵となります。
ストリートアートを見に行こう!
世界各国で見られるストリートアートは、海外旅行者にも人気です。偶然見かける作品もあると思いますが、ストリートアート巡りを目的とした旅行もいいかも!
世界の代表的ストリートアーティスト
まずは世界の代表的なストリートアーティストをご紹介。それぞれに独自の特徴を持って作品を描いています。
【バンクシー】イギリスのストリートアーティストですがその正体は謎で、バンクシーとして活動しているのはひとりとも複数とも噂されています。都市の壁や建物に、政治的、社会的、文化的な作品を描き続けています。近年ではその作品が超高値で落札されることもあり、落札された後に作品自体を切り刻むという驚きのパフォーマンスも有名です。神出鬼没なアーティストだけに、新作を偶然に見られたら超ラッキーです。
【キース・ヘリング】ユニクロや自動車メーカーとのコラボで日本でも有名なアメリカ出身のアーティストですが、31歳の若さで亡くなっています。ニューヨークの地下鉄で描いた作品で注目されました。その作風はシンプルな線と明るい色彩が特徴で、人や犬などを太めな線で描いた作品が有名です。
【ヴィールス】ポルトガル生まれのヴィールスは軍事クーデターであるカーネーション革命を体験して、当時の街の風景に影響を受けて作品を手がけるようになりました。その技法は独特で、建物や廃墟の壁の表面をドリルや火薬で削って人物の顔などを表現する壁面アートが有名です。
【シェパード・フェアリー】社会活動家としての一面も持つシェパード・フェアリーはアメリカを代表するストリートアーティストのひとりです。政治や社会に対して強い影響力を持つ彼の作品が一躍有名になったのは、オバマ前アメリカ大統領の選挙活動中のキャンペーンポスター。陰影の深い画風が特徴です。
【ブレック・ル・ラット】フランスのストリートアーティストであるブレック・ル・ラットは、ストリートアートやその運動に大きな影響を与え、現代ストリートアートのパイオニアといわれています。そのスタイルはポップアートやフォトリアリズムに影響を受けたブラック&ホワイトのステンシルアートです。
ストリートアートを楽しめる世界の都市
世界の国の中でもストリートアートを存分に楽しめる都市を抜粋してご紹介。海外旅行計画に入れてみては?
【ニューヨーク/アメリカ】ストリートアートの深い歴史があるニューヨークはその発祥の地と考えられていて、5つの区すべてで壁画などが見られます。街のマップを片手にストリートアート巡りをするのも楽しそうです。
【ロサンゼルス/アメリカ】ロスにも地元の人々に捧げたストリートアートが数多く存在します。マリリン・モンローやカート・コバーン、バスケットボールのレジェンド、コービー・ブライアントなどのアートが代表的です。
【ベルリン/ドイツ】東西分裂の歴史を持つベルリンは、その背景から政治的メッセージが強いストリートアートが数多く存在します。ベルリンの壁の一部を利用してアーティストたちが描くのは、平和と自由がテーマの壁画です。
【メルボルン/オーストラリア】ストリートアートのメッカであるメルボルンには数多くのアーティストが集まってきます。メルボルンを代表するグラフィティストリートのホイザー・レーンやユニオン・レーンで多彩なアートを堪能することができます。
【ロンドン/イギリス】圧巻されるストリートアートがあるロンドン。特にショーディッチ地区にあるブリック・レーンやリビングトン・ストリートは聖地のひとつで、1990年代からアーティストたちが移り住んでそれまでの治安の悪い雰囲気を一変させました。
【トロント/カナダ】活気のあるストリートアートシーンを誇るのがトロント。2012年に開始された“StreetARTorontoプログラム”によって市内各地の堀や壁、公共スペースを開放、地元のアーティストによる多彩で印象的な街中ギャラリーが構築されています。
まだまだ存在する世界のストリートアート。興味が出たらネット検索で要チェック!!